· 

絵本紹介~「めっきら もっきら どおんどん」

「めっきら もっきら どおんどん」 長谷川摂子・作 ふりやなな・絵 福音館書店

 

(あらすじ)

あそぶ友だちが 今日はだれもいない

かんたは神社に来てみた やっぱりいない。怒って泣いたら

古い樹の根元 ぽっかり空いた穴から 自分を呼ぶ声がする

かんたがのぞき込むと 中からどおっと 風が吹いてきて―

 

 

外出自粛の先週末、いつもの散歩道が混んでいて わき道が目に入りました。

腰の曲がったおばあさんが猫のように音も立てず 歩き去ったのが見えて

あの道はどこに続いてるのかな? 思わずついて行くと、

古い家が並ぶ細い路地がありました。

隣に家電量販店倉庫の巨大な壁が建っています。

そのせいで日当たりは限られているけど、

壁際にさっきのおばあさんなんかが勝手に植えたらしい

花が沢山咲いていました!肥料まで撒いてある。

土も水はけ良さそうだし、大きな川が近いし、昔この辺は広い畑だった?

そういえば、あっちに神社があったなと思いながら歩くと、すぐに

賑やかなバス通りに出て、「なんだー、ここかぁ」と気が抜けたのでした。

 

 

絵本「めっきら もっきら どおんどん」に出てくる”ここではないどこか”も

日常と地続きというところがワクワク感を増していて、

帰ればいつもの日常があるという安心感ゆえ、遊びと想像は楽しく、

「あれは夢?」と独り言をつぶやくところまでが物語のお約束。

(となりのトトロ、わんぱくだんシリーズ、不思議の国のアリス、かいじゅうたちの

いるところ、、、どれも)

 

今、世界で大きな変化が起こって「変わらない日常」は一変しました。

安心が揺らぐ気がしたり、我慢する場面も多いですが、

昔と変わらず日々の営みをできるだけ守りながら、想像力と遊び心を活かして

あたらしい豊かな日常を見つけるチャンスにしたいです。

 

(木綿子)