エマちゃんが紹介してくれたチモンのメッセージです。
チモンは太古の海の生き物、世界中からのたくさんのお話しを私たちに語ってくれます。
チモンが語った最初の物語をお聞きください。
「あるところに石切り職人の男がいました。
男は自分の人生に満足していませんでした。
ただの石切り職人でいることは、つまらないことでした。
ある裕福な商人の家の前を通ったとき、男は商人の暮らしを羨ましく思い、商人のように金持ちになって力を持ちたいと思いました。
すると、男はたちまちのうちに商人になりました!
金持ちの商人になった男は、みんなが偉い役人にペコペコしているのを見ました。
商人も偉い役人には頭を下げなければなりませんでした。
男は、偉い役人になって力を持ちたいと思い、その通りになりました。
偉い役人になった男は、みんなにペコペコされて、いい気持でしたが、ある夏の日、カンカン照りの太陽が、容赦なく男を照らしました。
太陽のように力を持ちたいと、男は思いました。そして男は太陽になりました。
太陽になった男は、地上のあらゆるものを焦がすように照りつけました。
ところが、真っ黒な大きな雲がやってきて、太陽を遮りました。
雲はなんて強いんだろう、雲になりたい、と男は思い、そうなりました。
雲になった男は、あらゆるものの上にその影を落としました。
すると強い風が吹いて、雲は吹き飛ばされてしまいました。
風のように強くなりたい。
男は風になって、あらゆるものを吹き飛ばしました。
しかし、どうしても吹き飛ばすことができないものがありました。
それは、そそり立つような、大きな岩でした。
男は岩になりました。
そして世の中に自分ほど強いものはないと思いました。
すると、どこかから音が聞こえてきました。
何かを削るような音が。
見下ろすと、そこには自分を削っている石切り職人の姿が見えました。」